
本日は、杏林大学2025年(共通テスト利用)を扱います。
✅問題概要
足るを知る、について自分の考えを書く。
✅文字数
800字
✅解答例
「足るを知る」とは、自分にとって本当に必要なものを見極め、過剰に求めずとも心の満足を得るという姿勢を示す言葉である。この考え方は、現代医療においても重要な意味を持つ。
たとえば医療現場では、最新の機器や治療法に目が向きがちである。ロボット手術などの高度医療技術は、精密さや安全性の向上をもたらす一方で、全ての患者がその恩恵を受けられるわけではない。健康格差という社会問題があるように、経済的・地理的な要因によって高度医療へのアクセスに差が生じる。最先端で高価な治療ばかりを追い求めれば、それを受けられない患者との間にさらなる格差を生むおそれがある。ここで問われるのが、「何が患者にとって本当に必要か」という視点である。
また、現代医療ではチーム医療が主流となりつつある。医師だけでなく看護師、薬剤師、リハビリ専門職、ソーシャルワーカーなど多職種が連携し、それぞれの専門性を活かして患者を支える体制である。ここでも「足るを知る」姿勢は求められる。医師がすべてを背負い込まず、他職種の力を信頼し任せることで、チーム全体の機能が高まり、患者にとって最適なケアが可能になる。自分に足りない部分を認識し、他者と補い合うことこそが、質の高い医療の実現につながるのだ。
私は、医師を志す者こそ、「足るを知る」姿勢を持つべきだと考える。技術や知識を過剰に求めるのではなく、自分の限界を知り、社会の現実と向き合い、患者にとって必要な医療とは何かを常に問い直す姿勢が求められる。医療資源が限られている今、公平で持続可能な医療を実現するためには、この言葉の意味を深く理解し、実践していく必要がある。
✅ポイント5選
1. 「足るを知る」とは、過剰に求めず本当に必要なものを見極める姿勢である
→ 医療においても、患者にとって最適な治療や支援が何かを見極める視点として重要である。
2. ロボット手術などの最先端医療の追求は健康格差を拡大する恐れがある
→ 高度医療が受けられない人々の存在を踏まえ、「誰のための医療か」を問い直す必要がある。
3. チーム医療においては「自分の限界を知り、他者と協力する姿勢」が重要
→ すべてを一人で抱え込まず、職種ごとの専門性を尊重し補完し合うことで質の高い医療が提供できる。
4. 医師は「技術や知識の限界」を自覚し、社会の現実と向き合う姿勢が求められる
→ 足りないものにこだわるより、「何が必要か」を見極めることが公平な医療につながる。
5. 「足るを知る」は、限られた医療資源の中で公平かつ持続可能な医療を実現するための理念である
→ 医療の本質を見失わず、社会に根ざした医療を行う指針となる。
✅キーワード解説
① チーム医療
● 定義
チーム医療とは、医師、看護師、薬剤師、リハビリ専門職(理学療法士・作業療法士)、管理栄養士、ソーシャルワーカーなど、多職種が連携して患者を中心に医療を提供する体制のことです。各職種がそれぞれの専門性を発揮しつつ、互いに協力し合うことで、より質の高い医療や包括的なケアが可能になります。
背景には、医療の高度化・複雑化により、一人の医師だけでは対応できない課題が増えてきたという現実があります。また、高齢化や慢性疾患の増加により、医療と介護の連携、生活支援まで含めた包括的なサポートが求められるようになっています。
● 小論文での活用法
チーム医療は、次のようなテーマと組み合わせて論述できます。
-
医師の働き方改革/業務の負担軽減
→ チーム医療によって医師が抱える過重な責任を軽減し、患者ケアの質も向上する。 -
多様性・協調性・コミュニケーションの重要性
→ 医師には専門知識だけでなく、他職種との信頼関係や対話力が求められる。 -
患者中心の医療(Patient-Centered Care)
→ 患者の価値観や生活に寄り添った治療方針を、多職種で共有し実現する。 -
「足るを知る」など倫理観・人間観に関わるテーマ
→ 自分一人で全てをこなそうとするのではなく、「他者の力を借りることの価値」を認識する姿勢として活用できる。
② 健康格差
● 定義
健康格差とは、経済的、社会的、地理的な背景の違いによって、人々の健康状態や寿命に差が生じることを指します。たとえば、低所得層や孤立した高齢者、過疎地に住む人々などは、必要な医療や情報にアクセスしづらく、生活習慣病や精神的な問題が悪化しやすいという傾向があります。
これは「社会的決定要因(Social Determinants of Health:SDH)」とも深く関係しており、医療だけでなく教育、雇用、住居、家族構成など、社会全体の構造的要因が健康に影響を与えます。
● 小論文での活用法
健康格差は、医学部小論文において以下のような観点で論じやすいです。
-
公平な医療のあり方
→ 医療技術の発展とともに、それを「誰が享受できるか」に注目する姿勢が問われる。 -
地域包括ケア・在宅医療との関連
→ 高齢者や独居世帯を支えるには、地域での医療支援体制整備が不可欠。 -
公衆衛生と予防医療の重要性
→ 医療介入の前段階として、健康教育や生活支援が必要であることを主張できる。 -
テクノロジーとの対比(医療の二極化)
→ 最先端医療と未整備地域のギャップを示し、「どのように格差を埋めるか」を論じる。 -
倫理的な視点/医師の使命感
→ 経済的・社会的に困難な状況にある患者に対しても、平等に向き合う医師の姿勢を強調できる。
③ ロボット手術・支援技術
● 定義
ロボット手術・支援技術とは、医療用ロボット(例:ダ・ヴィンチ)やAI支援システムを用いて、手術や診療、リハビリなどを支援する医療技術を指します。技術の進歩により、医師の手の動きを再現・強化し、従来の手術では難しかった繊細な操作が可能になっています。特に内視鏡下手術やがん手術で多く活用されています。
同時に、手術のリスク低減や患者の早期回復にもつながっており、医療の質と安全性の向上が期待されています。
● 小論文での活用法
ロボット手術や支援技術は、以下のようなテーマでの論述に使えます。
-
医療の未来像/テクノロジーと医師の関係
→ 機械が医師の代わりになるのではなく、「人間が中心となって技術を活用する医療」を論じる。 -
医療と倫理/ヒューマンタッチの重要性
→ 技術に頼るだけでなく、「患者と向き合う心」「説明責任」など人間性を重視する姿勢と対比できる。 -
医療資源と格差の拡大
→ 最先端医療を一部の病院・地域だけが扱うことで、医療格差が広がる可能性について警鐘を鳴らす。 -
効率と安全性/医師のサポート
→ 働き方改革と関連づけて、医師の負担軽減と医療の質の両立という視点でも使える。 -
「足るを知る」との関連
→ 高度な医療技術に偏らず、患者にとって必要かつ適切な治療を選択する重要性を示す。
✅さらに深く学びたい方へ
小論文の出題傾向分析や頻出テーマの解説、勉強方法などを、noteにてより体系的にまとめています。
▶ 医学部小論文対策の決定版 → noteはこちら
※本記事は、杏林大学医学部の
特定年度の小論文過去問に対する解答例・解説です。
杏林大学では、
出題テーマは年度ごとに異なりますが、
評価される視点や答案構成には一貫した傾向があります。
▶ 複数年分の過去問を横断分析し、
「この大学で評価される書き方」をまとめた完全対策パックはこちら
杏林大学 小論文・過去問完全対策パック【2021–2025】総論解説 - 医学部合格への小論文術
この記事で扱ったテーマは、
医学部小論文では「書き方の差」がそのまま得点差になります。
✔ この書き方で減点されないか
✔ 医学部が評価する視点になっているか
✔ 自分の答案のレベルはどの位置か
これらは、自己判断が最も難しいポイントです。
現在、医学部小論文に特化した
【AI添削サービス】を提供しています。
・単発1本(4,000円)
・3本パック(10,000円/1本あたり約3,300円)
▶︎ 添削サービスの詳細・申込みはこちら
【医学部小論文】AI添削サービス|単発1本・初回利用歓迎 - 医学部合格への小論文術